元禄繚乱

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作品概要
制作会社 NHK
公開年度 1999年
内蔵助役 中村勘九郎5th
評価 4ツ星
役者絵:中村勘三郎


NHK大河ドラマ。原作・舟橋聖一。

松の廊下事件よりずっと前、綱吉が将軍になる前、内匠頭が結婚するずっと前からお話はスタートする「エピソード0」的作品。

そして1年がかりの放送でゆっくりほうぼうの事情を説明してくれて、素人が「元禄赤穂事件」を知るにはいいドラマ。自分も忠臣蔵にくわしくない時期に本作品を連続してみることでたいへん勉強になりました。

作品に独特の魅力があり、当時忠臣蔵にハマッていたわけでもないのにあたしはこの作品をオン・タイムで見て毎週録画していた。ハマるきっかけと言ってもいいかもな作品。


登場人物の、おのおのの「立場」を丁寧に脚色してるので不義士とか悪役、というこれまでの偏ったニュアンスが各キャラから消えている。

これには配役も貢献してると思う。

まず中村勘三郎(<18th。当時勘九郎)が大石内蔵助をいいバランスで演じている。ほかの忠臣蔵作品では各役者が立派な人柄で演じていたが、勘三郎は持ち前の器用さで内蔵助像を「実直ではあるが色を好むチャラい軽妙な小男キャラ」として完成させている。(実際は脚本家と険悪だったと聴きます。)。

そもそも池波正太郎作品とかに出てくるイメージが勘三郎に近い(個人的意見)し、ちなみに東大の史料編纂所にある、大石内蔵助そっくりに作ったという人形は勘三郎に似ている。

東山紀之の浅野内匠頭も頭が堅そうで良かったし、いろいろ博学で実際はそんなにやさしくなさそうな石坂浩二が吉良で合ってたし。阿部寛の安兵衛も、宮沢りえのあぐりも、辰巳琢郎の大高源五なんかにいたるまでよかった。役者当人のキャラをうまく利用している。 これを見た以降、忠臣蔵キャラをこの番組の配役でイメージすることが多い。

そこへお笑い芸人や元AV女優、大石内蔵助の子孫まで出演して作品の色をまさに「繚乱」なイメージに仕上げている。


ただ、フィクション部分(この番組オリジナルのエピソード)があんまりおもしろくなかったかなー。

柳沢慎吾や高岡早紀のスパイ活動は出てくるたんびにテンポが崩れるし、本筋にグイグイ食い込んでくる吉田栄作と鈴木保奈美のよろめきシークエンスは、じゃっかんウンザリする。この二人、以前つきあってたのだが鈴木保奈美が柳沢家に側室として召し抱えられる。できた子供は不義で作った元カレ吉田栄作の子供でうんぬんっていう架空のハナシ。いらなくね?

脚本家・中島丈博がどうしてもこだわりたかったキャラなのかもだが…

で!こともあろうに吉田栄作は寺坂吉右衛門とメンバー交替して討ち入りに参加する。だからこのドラマの四十七士は正式メンバーではない。それはやっちゃダメでしょう〜。

中盤で内蔵助が思い出をVTRで振り返る「プチ総集編」があったのもじゃっかんさめた。


<附言>

Wikiにも書いてある、打ち上げのときに脚本の中島氏が勘九郎に「あんたの目は死んでいる」と言ったせいで揉めごとになったエピソードについては、もりいも故・国本武春氏(宝井其角役。当時現場に列席)から直接聴いたが、勘九郎氏はテーブルを叩き、それまで聴いたことがない甲高い大声を出して中島氏にくってかかっていたと言う。大竹しのぶさん(大石りく)も中島氏に「あんたあやまんなさいよぉ〜」と勘九郎丈に肩入れし援護射撃をしていたとか。

ほんとはみんなの前で浪曲をやる予定の武春氏だったがこの揉め事のせいでスタッフから中止の号令がコッソリかかり、流れたと言っていた。笑


<附附言>

当時16歳で大石主税を演じた中村七之助さん(2nd)の話によれば、当時、仮名手本忠臣蔵でも一度も由良之助をやらなかった勘三郎(当時勘九郎)は、大石役に相当抵抗があったとかで、しょっちゅうそのことをクチにしていたと言うが、本作の内蔵助像が歌舞伎とかけ離れていたので、吹っ切れたという。(出典:2025年1月アップ予定)


<附附附言>

明石家さんまが祇園(島原?)・笹屋の主人役で出ているのだが、彼の実際のバツイチエピソードを想起させる、大竹しのぶ(大石りく)とのおもしろいカット割りを撮影までしてたのにばっさりカットしたことを不服として(←大河らしくないというディレクターの判断)、テレ東(←高視聴率を叩き出した「さんまのサタデーナイトショー」を低俗ということで打ち切りにした)とともに、NHKはさんまの2大NG放送局となった。