大石りく
大石りく【おおいし りく】… 内蔵助のおくさん。理玖。講談では" お石 "とする時もある。
大柄。池波正太郎の小説には背丈が合わない内蔵助の奮闘する濡れ場が表現されている。
小説のかんじだと、柄は浪曲師の天津ひづる先生くらいの品、グラマー&スケールかげん。
東宝の原節子は妥当かもです。
会社が倒産して山科に引っ越してからは内蔵助は京都のフーゾクにいりびたり。それでもりくは堪え忍ぶ。
我慢するだけしているが、ある日内蔵助は遊女(フーゾク嬢)を自宅に連れ帰ってきて、かわりにりくを追い出す。
表向きはとんだていたらくだが、実はこれは討ち入りを決行するにあたって、事件後に家族に罪がおよばないようにわざと三行半を叩き付ける体(てい)で家族を離縁する。りくは「裏作戦」を聞かされていないのでいささか躊躇するが、内蔵助の内心は見抜いているという演出。「山科の別れ」「二度目の清書(きよがき)」「大石良雄 妻子別れ」
たいがい黙って家内を守る貞女だが、「たけし版忠臣蔵」の竹下景子は「体裁わるいから、仇討ちの意志がないことをアプローチするなら百姓仕事とかにしてくださいよ」とズケズケ言っていた。「峠の群像」(丘みつ子)では時折ヒステリックな現代的な主婦像で描かれた。
また、仮名手本(歌舞伎)では、婚約解消した小浪たちに「そんなに結婚したいのなら、引き出物に親父のクビを持ってこい」などと意外に気丈でサディスティックなセリフを言う(ただしこれは、小浪がすぐ後家になるのを哀れんで、結婚をあきらめさせようという方便)。
お父さんの石束源五兵衛(いしづか げんごべえ)も、しばしばドラマに登場する。
彼女の視点から描いた事件前後のエピソードを平岩弓枝が小説化した「花影の花―大石内蔵助の妻」はいろいろお芝居になってて、1992年に日生劇場で八千草薫主演で舞台化。ブレイク前のキムタクや森くんが共演している。
水谷八重子は、初め朗読劇だった企画を「演じたい」とリクエストしてひとり芝居に昇華させ、10代〜60代のりくの人生を演じています。
平岩先生に言わせれば、りくは「瀬戸内海に面した穏やかな土地の家老の妻として、四人の子にも恵まれ、まるで小春日和の中に身をおいてたようなシアワセが、とつじょ赤穂事件によって踏み破られた」ふつうの女性として描かれており、これは実際の彼女の残した手紙からも伺える人物像とリンクする。
ちなみに故・山田五十鈴は何度も大石りくの役をやっている(「忠臣蔵 花の巻・雪の巻 (松竹)」「 赤穂浪士(NHK)」など)が、人気番組必殺シリーズでも、忠臣蔵とは関係ないが「りく」という役名だった。
関連項目
忠臣蔵ぶろぐ