忠臣蔵 花の巻・雪の巻 (松竹)
作品概要 | |
制作会社 | 松竹 |
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公開年度 | 1954年 |
内蔵助役 | 松本幸四郎8th |
評価 |
松竹映画ということで、当時まだ仮名手本で由良之助を2回しかやったことのない(出典:当時の対談)松本幸四郎時代の若き松本白鴎が主役に引っ張りだされてる。
当時にしてはかなり大胆なアプローチの大作忠臣蔵。
瀬戸内海に集まる大艦隊(マットアートですが)とか、討ち入りのときに相手を斬った時バサッと返り血を浴びるなどなど。そしてもっとも注目すべきが討ち入りを「あだうち」ではなく、小藩取り潰し政策への反抗というレジスタンスに描いているところ。当時のパンフレットにも「まったく新しい解釈」とうたってそこをアピールしている。とはいえ見かけは非常にオーソドックスで地味に見えちゃう忠臣蔵。
これを見るまで、古い部類では60年代の東宝のがけっこう斬新だと思っていたが、実はいくつかの要素(註釈01)がまんまこっちが先にやっていて、うがった見方をすると、後年の東宝はこの作品のパクリ?とも取れなくないくらい。だって、会社違うのに題名まで一緒なんですよ。んま、影響力があった1本というかんじなんでしょうね。あっそう言えば主人公も松本白鴎で一緒だ。どうなってるんだ。
あと、セットがすごくて、松の廊下もオープンセット。850坪の敷地に作られたとか。戦後最高の規模だそうです。
って、この記述だけだと、大胆さや斬新さばかりほめちぎるようだが、史実において討ち入りのときに用意されたとされる「ドラ」が映像化されてるのはこの作品ぐらいだそうです。(註釈02)
いろいろ申し分無いが、さっきも地味だと言いましたがとにかくマジメ。もうちょっと彩りがあったらいいなと思った。その反省をふまえて染め直したのが東宝のほうの作品っていうことなのかしら。「やるならこうでなくっちゃ」という松竹への挑戦?
とはいえ、どこを抽出して覗いてもどの場面も大変よくできている。淡々としているがひじょうに構成が心地良い。正しい作品。
公開当時は大入りだったそうで、1位「君の名は(第3部)」2位「七人の侍」についで堂々3位の興行成績で、5位の「ゴジラ」に水をあけている。(ちなみに4位は「二十四の瞳」。さらに関係ないが主人公の名前はたまたま大石先生じゃw。)
註釈01…城明け渡しにあたって合戦になるかもと領民が逃げ出す群衆シーンや、病気のために討ち入りに間に合わない浪士とか、62年の東宝作品にはかぶるシーンがいくらもある。
註釈02…後年「決算!忠臣蔵」でマヌケに映像化されている。
超余談)DVDリリースをはじめた2008年から、知る限りでは2010年7月現在まで、Amazonで紹介している本作品のタイトルは「花の巻・雲の巻」と誤植だった。