千坂兵部
千坂兵部【ちさか ひょうぶ たかふさ】…大石のライバルキャラ。上杉家の家老。吉良家に派遣され参謀として務める。「智坂」とあだ名されるほどの知恵者。病気持ち。
浅野家の大石と対極に位置し、知恵比べを演出される好敵手。
吉良上野介を助けるために出兵しようとする上杉綱憲(主君)を押しとどめる役などで出てくることが多い「なんとしても行きたくばこの兵部の屍を踏んでいきなされっ!」
が、史実的にはこの時すでに千坂は死んでいる。
なので病気、病死したという扱いでドラマの途中から出てこなくなるパターンもある(「忠臣蔵 花の巻雪の巻」註01、「薄桜記」ほか)。
作品によっては吉良と馬が合わないけど、吉良の息子が自分のところの当主だからと、仕方なく従えてるような演出がある。
「元禄繚乱」では、火事で焼けた吉良家の普請に上杉家から予算を出す流れに露骨にイヤそうにしたりして、松乃廊下事件以前から上野介に対して良くない印象を持ってるように描かれ、「忠臣蔵 桜花の巻 菊花の巻」では、はっきり吉良が兵部のことを「虫の好かないやつ」と独り言で言っている。
「赤穂浪士」では吉良の息子で殿様の上杉綱憲に「父が嫌いであろう?」と、悲しそうに聞かれて、兵部が絶句するシーンもある。
「三船版」では、吉良が複数の浪人を使って千坂に闇討ちするよう謀ったり、面と向かえば「おぬしはワシが憎いのであろう?上杉15万石の安泰のためにわしを殺したいのか千坂!?ならばいっそわたしを裸にして赤穂のヤセ浪人の中に投げ込むがいい!!」と、千坂を怒鳴りつけている。これは図星で、個人的には千坂は「なろうことなら大石殿に本懐を遂げさせてやりたい」とさえ口走っている。
千坂兵庫。長尾千坂。
註01…映画では途中、体を悪くして布団に入ってるシーンで出番は終わっているが、シナリオ上では最後まで生きていて、討ち入り最中に千坂(志村喬)は上杉家に出向いており、家臣家来たちの出動を阻んでいる。オロオロする松原多仲(益田喜頓)に「これは謀反だから上杉家が巻き込まれてはいけない」とすごい気魄で説得をしている(殿様には納得してもらった旨がセリフだけで処理されている)。