ドドンパ酔虎伝
作品概要 | |
制作会社 | 大映 |
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公開年度 | 1961年 |
内蔵助役 | −−− |
評価 |
中山安兵衛に勝新太郎を迎え、高田馬場の決闘を面白楽しくドドンパ※註01・ミュージカルに仕立てた娯楽映画。(モノクロ)
共演には赤垣源蔵に水原弘。艶歌師にドドンパで売った歌手・渡辺マリ(素敵な歌声)など。
「週刊漫画天国」に連載していたという川内康範の原作(脚本は銀座八郎)で、「悪名」「座頭市」「兵隊やくざ」シリーズの田中徳三※註02が監督をし、音楽は宮川泰という豪華なスタッフとキャストで作られた珍品。
ドドンパのヒットに便乗し、安兵衛たちの作った曲を盗用して「ドドンパ教」なる新興宗教を始める悪人・村上権左衛門とその一味。
同じ頃、討ち入りの支度金にと赤穂浪士の名を騙り押し入り強盗を働く台風組なる悪党一味が江戸を震え上がらせるのだが…。
ともかくまったく飽きることなく見ていられるゴキゲンな喜劇映画であるが、大きな特徴がある。
本作の安兵衛は赤穂藩士ではない。
気楽に生きていたいからと日の丸藩を辞め、あぶはち長屋でドドンパの作曲(作詞は隣に住む大高源五…小林勝彦)をしている浪人者の中山安兵衛(なんじゃそら(笑))。
いろんな縁で堀部弥兵衛(益田喜頓)や居酒屋のヒモをやってる赤垣源蔵ら赤穂浪士(そう。すでに赤穂浅野家は無い)とも友だちになるのだが、この話は元禄15年初夏が舞台で、クライマックスに見せ場として高田馬場が来る。(ドドンパをBGMに大高、赤垣も助太刀するたちまわり)
つまり安兵衛はこれから半年ほどの間に婿入りして堀部姓になり、お取り潰しになった赤穂浅野家に仕官(?)して、討ち入りに参加する?ことになる。
果たして、まだ見ぬリーダー大石内蔵助はなにを見込んでお家には縁もゆかりもないこのヤスベエなる人物をメンバーに加えるのやら?
本編のあらすじは簡潔に入り組んだ勧善懲悪モノでうまくまとまっているだけに、これだけのスタッフやキャストが揃っておりながら基本の忠臣蔵部分をどういう経緯で(バンツマのオマージュまで入れている懲りようなのに)「まっ!これでいっか!」としたのかを知りたいと思った。
仕事中のBGVで流しておきたい陽気な作品だが2016年9月現在ソフト化がなされていない。
註01…ドドンパ:マンボとルンバと都々逸(!?)が混ざった独特のリズム音楽。1961年に流行。
註02…このひとの「新・座頭市物語」は大好きです。