韋駄天数右衛門

提供: Kusupedia
移動先: 案内検索
作品概要
制作会社 宝塚キネマ
公開年度 1933年
内蔵助役 羅門光三郎
評価 3ツ星


不破数右衛門のおはなし。サイレント。


コミカルな彼のようすを赤穂藩在勤(お殿様の剃り役)>粗相>リストラ>韋駄天…とつづる。

タイトルの「韋駄天」は、リストラされたあとに凶報を聞きつけ、赤穂の城まで韋駄天走りするサマを表している。


幕開けは、子供が川に落ちた羽子板の羽根を数右衛門が拾ってあげようとして彼が川にハマるという軽いジャブから始まり、武林唯七の「粗忽の使者」などを数右衛門のエピソードとしながら人柄を紹介していき(加筆:お使いに行く先を間違えて飯を何膳も食べさせられるくだりや内匠頭の月代を剃る講談エピソードは武林と不破の両方にある)、中盤では、ある日たまたまでっくわした、旗色の悪い仇討ち藤本兄妹に加勢しようとして、敵を追っかけてる途中に出会い頭に斬りつけた相手が人違いで、これが人生の転機。

あろうことか犠牲者は藩士に悪質な貸し付けをしていた大野九郎兵衛の息子・群太夫。家老職の身内に対して傷害事件を起こしてけしからんというところから浅野内匠頭も放っておけず、みずから手打ちにするとしながらも、数右衛門をナイショで生かして逃がしてあげる。

後半はヒゲヅラ浪人の寺子屋の先生・数右衛門夫婦がお家の大事にビックリ、一死報恩ということで、質草になってる鎧櫃を金も払わずひったくり、風雲の赤穂へ横っ飛び。

橋の上で行く手を阻むのは、かつて数右衛が仇討ちに加勢したおかげで命を落とした武士・相良久八郎の道場仲間達。この殺陣がなかなかすごく、斬られて橋から川へ転落する迫力は仮面ライダーのエンディングに匹敵する。


笑いあり、人情あり、アクションアリで見所いっぱいの本作は上映会場では終始笑い声が絶えない、楽しい52分であります。


主役の不破数右衛門と大石内蔵助は羅門光三郎の二役。人気の俳優さんだったと弁士さんが言っておられました。

数右衛門の女房、おくにを演じているのが原 駒子という女優さんなのだが、わたしは高校生の時にマルベル堂のまとめたブロマイドの本でこの人をはじめて知り、ふところからニュッと短筒をのぞかせてキッと横を睨んでいるポーズにしびれ、「かっけー!動いてるところが見たいなあ」と思ってた26年の積年の思いがこの映画のおかげで実ってうれしいったらありゃしませんでした。(加筆:この4年後の「決闘高田の馬場」に出てた!)


附言:なァンだ!羅門光三郎と、原駒子、夫婦じゃねえかっ!!!