間瀬久太夫
間瀬久太夫【ませ きゅうだゆう】…正路潔白の度が過ぎておもしろくない男。
友「貴公のような片物(へんぶつ)じゃあ同僚のつきあいができん。一緒に女郎買いに出かけよう」
久「瘡(かさ)をかいて鼻でも落ちたら侍のつとめができぬ」
友「バカだなあ。鼻が落ちるの骨がらみだのというのはよっぽど運の悪い万人に一人だ。」
若いころ…
大阪蔵屋敷の在勤が決まったとき、賄賂に私腹を肥やしていた先輩3人が「あんな無骨じゃ大阪商人とやりとりができん」とウザがり、色香にまよわそうとしたり、橋の上から大きな石を落として殺そうとするので久太夫はキレて先輩達を殺して死体にまたがって切腹しようと計略するが、部下の大助(小野寺十内が派遣してくれた家来)に「堪忍が第一」と止められる。
暗殺実行犯、ちんぴら「のざらしの半助」は久太夫の手裏剣を食らって片目をつぶされるが、日を改めて「自分はただの通りがかりなのにひどい目にあった」としらばくれて子分を使って久太夫宅へゆすりに行かせる。ここもグッと堪忍して翌日大助が賠償金を持って出かけてみると、あにはからんや半助は行方知れずの大助の弟だった!「おまえ、親不孝の末、行方知れずになってたかと思ったらこんなていたらく!」と嘆く兄。説教をしてるうちに半助は、片目を失ったのは親の忌日も知らず悪いことばかりやってた罰と反省し、善心に立ち返った。
その後、先輩三人は久太夫を毒殺しようと医者・三橋道貞(浅野家の医者)に調合を依頼するが、道貞は先輩三人のほうが悪いのを知ってるので彼らに毒を盛り、自分も責任を取って同じ毒を飲んで死ぬ。
彼の忠義に感動した殿様(浅野長友公)は残された娘を久太夫にめとらせる。
お家断絶後は縁故ある三橋道貞の名で医者に化けて麹町に潜伏した。
甥っ子がメンバー木村岡右衛門に殺されるという逸話もある。
討ち入り後、切腹の時下痢気味だったんで「粗相をしかねないのでよろしく」と細川家の人に言ってる。
享年63。