「忠臣蔵(大映)」の版間の差分
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[[画像:Katsu_s.jpg|thumb|役者絵:勝 新太郎]][[画像:okano00.jpg|thumb|役者絵:鶴田浩二]] | [[画像:Katsu_s.jpg|thumb|役者絵:勝 新太郎]][[画像:okano00.jpg|thumb|役者絵:鶴田浩二]] | ||
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− | 後半は急に落ち着いた、丁寧なドラマ構成になっている。鶴田浩二の[[岡野金右衛門]] | + | 後半は急に落ち着いた、丁寧なドラマ構成になっている。鶴田浩二の[[岡野金右衛門]]が露出度が多く、吉良側の間者の京マチ子のシークエンスも多い。このあたりのめりはりが映画を退屈させない。 |
+ | この、京マチ子のボスである小林平八郎(田崎潤)がドラマ史上上位にランクされる乱暴者で、絶えず人を見下すような態度の滝沢修演じる吉良上野介と共に敵キャラの存在感を上げ、浪士を応援する鑑賞者の気持ちをブレさせない。 | ||
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+ | 急いだ前半とたっぷりした後半の隙間に、比較的愉快な[[赤埴源蔵]](カツシン)や[[勝田新左衛門]]のお父さん(志村喬)のエピソードが挟まれており、この強弱もイイ。いよいよ内蔵助が東へ下る?てときにポーンと入ってくるんで気分がリフレッシュいたします。 | ||
あと、「大石東下り」の[[垣見五郎兵衛]]役の中村鴈治郎がいい。この人、黒澤の「どん底」もそうなんだけど、顔がちょっと恐いわりにどこかカワイイのです。 | あと、「大石東下り」の[[垣見五郎兵衛]]役の中村鴈治郎がいい。この人、黒澤の「どん底」もそうなんだけど、顔がちょっと恐いわりにどこかカワイイのです。 | ||
− | + | これらのエピソードのおかげで東映や東宝に比べて本作品は、'''講談色が濃い'''。 | |
この映画でもっとも特徴的なのは、全編にわたって要所要所で[[多門伝八郎]]が月光仮面(鞍馬天狗?)のように奔走してかなり浪士側をバックアップしてくれる部分。 | この映画でもっとも特徴的なのは、全編にわたって要所要所で[[多門伝八郎]]が月光仮面(鞍馬天狗?)のように奔走してかなり浪士側をバックアップしてくれる部分。 | ||
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+ | 長谷川一夫の細かい気を使った演じぶり(抑えめのオーバーアクション)や、台詞一行に感じる重みが楽しめればマジメな忠臣蔵ファンには期待を裏切らない「おとなのつくりこみ」だが、チャラいところがない隙の無さがビギナーには堅苦しいかも? | ||
2012年12月24日 (月) 08:18時点における版
作品概要 | |
制作会社 | 大映 |
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公開年度 | 1958年 |
内蔵助役 | 長谷川一夫 |
評価 |
長谷川一夫がはじめて内蔵助をやった映画で、さらに創立以来18年、大映がはじめて「忠臣蔵」を本格的に映画化した作品だとか(外伝、銘々伝系はあった)。
出演者の目張りがすごいんで油断すると全員同じ顔に見える。
前半はなんだか展開を急いでる感じがして、ちょっと登場人物に共感できない。反面、ストイックで無駄のないスタイリッシュな進み方が気持ちよい感じも、する。だがそのスピードにスター市川雷蔵も巻き込まれてしまうので、せっかくの大映映画だがゆっくり雷蔵を楽しむことはできない。(ゆっくりは堪能できないが、切腹までとりあえずワンマンショーばりに約30分間"でずっぱり"ではある。)
そもそも彼の浅野内匠頭はシンが強そうなので、とことん「かわいそう」には見えない。切腹のときも無刀無言で面会が許されてるはずの片岡源五右衛門とあっさり会話してるしw。
後半は急に落ち着いた、丁寧なドラマ構成になっている。鶴田浩二の岡野金右衛門が露出度が多く、吉良側の間者の京マチ子のシークエンスも多い。このあたりのめりはりが映画を退屈させない。
この、京マチ子のボスである小林平八郎(田崎潤)がドラマ史上上位にランクされる乱暴者で、絶えず人を見下すような態度の滝沢修演じる吉良上野介と共に敵キャラの存在感を上げ、浪士を応援する鑑賞者の気持ちをブレさせない。
急いだ前半とたっぷりした後半の隙間に、比較的愉快な赤埴源蔵(カツシン)や勝田新左衛門のお父さん(志村喬)のエピソードが挟まれており、この強弱もイイ。いよいよ内蔵助が東へ下る?てときにポーンと入ってくるんで気分がリフレッシュいたします。
あと、「大石東下り」の垣見五郎兵衛役の中村鴈治郎がいい。この人、黒澤の「どん底」もそうなんだけど、顔がちょっと恐いわりにどこかカワイイのです。
これらのエピソードのおかげで東映や東宝に比べて本作品は、講談色が濃い。
この映画でもっとも特徴的なのは、全編にわたって要所要所で多門伝八郎が月光仮面(鞍馬天狗?)のように奔走してかなり浪士側をバックアップしてくれる部分。
長谷川一夫の細かい気を使った演じぶり(抑えめのオーバーアクション)や、台詞一行に感じる重みが楽しめればマジメな忠臣蔵ファンには期待を裏切らない「おとなのつくりこみ」だが、チャラいところがない隙の無さがビギナーには堅苦しいかも?