超・忠臣蔵 DEATH〜江戸の廊下でキラを斬ってみた2〜

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作品概要
制作会社 スペリオライズ
公開年度 2021年
内蔵助役 夢麻呂
評価 1ツ星


 例えば、地芝居のような地域の文化活動も見に行って、古典芸能と一緒にラインナップして「★1」とか「★5」とか言うのは、この多様性の時代、我ながらおこがましいと思ってしまう。

 わざわざ辛い点を付けてまで引き合いに出すのはイジワルなのではないのだろうか??

 いや、ただ、これも時間が経つと、21世紀初頭はこういう感じだったのか…と、時代ごとの文化や社会の変遷を「忠臣蔵」事情を通じて示す貴重な記録になるのではないか?

 そうだ。だから、いいのだ!

 と、このように、この芝居は、見ている最中にうわの空になって、ちょいちょいそんな余計なことを考えてしまうという特徴がある(個人の感想)。


 大石内蔵助が討ち入りに吉良邸までやってきたら、お供がバイトで採用されたというフランス人のジョナと、バハマ人のガストしかおらず、返り討ちにあってしまう。(というオープニング。バイトとか外国人とか3人とかファミレスにちなんだ名前とかに大した意味や"ひねり"はない。バハマうんぬんも2012年KOC優勝者のネタからの引用)

 殺陣やダンスを披露しながら元気に進行するこの物語は、既視感のあるギャグと、アドリブ風な演出で「そういうの楽屋でいいから!」みたいなわざとらしいやり取りを随所に散りばめつつ、なんとなくおもしろいみたいな雰囲気の中で2時間強の独特な空間を作っている。

 おそらく現場では芸歴のお長い夢麻呂さん(客演)が指導をして若手が一生懸命がんばっているのだろうが、みなさん、おバカな内容を体言するスキルがもうひとつ伴っていない(ごく何人かを除いて、アドリブ(含・もどき)や客いじりするにはまだまだ早い)。なんて言うかみんなマジメ。


 登場人物には東山天皇とか皇太后、将軍、果ては死神のリュークとか珍しいキャラが入り混じって、それが実際の地位をもじっていたら突拍子もないストーリーになったかもだが、関係性もどっかの会社内の上下関係程度にとどまってて、全体的に「どうしてこうしたのだろう?」感が強い。

 例えば「スラダン」でも「ワンピ」でも「ヒロアカ」「鬼滅」なんでもいいから、ご自分が大好きなマンガの登場人物の役割や地位、相関関係を、テキトーに誰かがシャッフルした(&新キャラ投入)状態で見せられたと想像してほしい。

 それってまず原作超えは無理だし、すごくリスキーだと思うが、この芝居はまんまとその悪手に踏み込んでいる。(加筆:まてよ?二次創作レベルのことをしようとしてるってことなのか?いやでもそれならそれで、原作のキャラを愛し&解読しきってこそ成り立つ芸当のはず。)


 「いまコレやらなくちゃダメ?」「なにを見せられているのだろう?」という出し物も多い。

 で、なんていうか本作品は、かりに検閲で「忠臣蔵はダメ!」と上演禁止になったとしても、このテンプレで平気で別のことができそうなかんじ。(もちろん厳密にはむずかしかろうが)

 それはつまり「この題材が忠臣蔵でなきゃいけない必然性ってある?」という問題もであると同時に「じゃあ、忠臣蔵らしさってなんなんだろう?」を考えてしまう。


 この内容で2時間超えはしんどい、というか客に対して失礼な感じがした。(個人の感想。上演時間1時間半だったら相当感想は変わっていたと思う)

 ただ、わたしが忠臣蔵の推し活をしてなければ出会わなかった劇団の芝居を勝手に見に行って「★1」とかつけるのも失礼な話しであり、ごめんなさい。おあいこで。


 もりいのアニメと同じタイトルであるえにしを喜んで星2つにしてたが、ほかの星2つに悪いんで修正。