盟三五大切

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作品概要
制作会社 松竹
公開年度 2008年
内蔵助役 ---
評価 3ツ星
2008.11月東京 歌舞伎座

R指定(うそ)

かみかけてさんごたいせつ

四谷怪談の原作で有名な鶴屋南北が書いた、四谷怪談の10日後に上演されたバイオレンス歌舞伎。

四十七士、不破数右衛門のあり得ない「仮名手本忠臣蔵」のスピン・オフで、この話に引っ張り出された不破もいいツラの皮だなあと思う。


全体的に笑い(息抜きの"おかしみ")が一杯詰まってるにもかかわらず愛憎入り交じり、人の因縁の皮肉さを、南北得意の(って、よく知らないけど)構成でおもしろくえがいた怪作。

猟奇的でありながらフザケる(笑いをちりばめる)という構成は奇妙なのだが、いいセンスだなあと思う。なにしろ近年のドラマはバカみたいに戦争中のドラマは悲しく。偉人はどんな奇才でもまじめに描いちゃう、はなはだ工夫の無い演出のドラマばかりだから、もともと日本人のクリエーターが持ってたこういうハイセンス、ちかごろ有り難し。


ストーリーは意外性に富んでるのであんまり言わない方がいいんだけど、ネタバレすると、不破数右衛門の惚れた芸者は夫、三五郎の100両の金策のために不破をたぶらかす悪い女。お金をだまし取られた恨みがのちに不破の大量殺人を引き起こすが、そもそもその三五郎がどうしてカネが欲しいかというと、親父からの勘当を許してもらいたいがため。おやじは息子に金を作らせてどうしたいかというと、それを知り合いの不破の義援金にしたいがためなのだ。超ひにく〜!登場人物みんながお互いを知らないために皮肉な、ないまぜ劇が展開される。

落語「持参金」みたい。


余談だが、古畑任三郎第1シーズンの、マチャアキ演じる歌舞伎役者が人殺しをしたあとすぐに逃げなかった理由が「こんど盟三五大切の源五兵衛(不破数右衛門)を演るから劇中に出てくる、人を殺したあとで茶漬けを食べる心境を体験したかった」だった。


昭和50年代からしばしば公演されているそうです。見たのは2008年の吉例顔見世大歌舞伎、歌舞伎座の公演。源五兵衛(不破数右衛門)を仁左衛門(15th)がものすごく演じた。

市川染五郎 (7th)がシアターコクーンで演じた時は観客の女子高生から「人でなし!」と野次られたという。冥利に尽きますでしょうな。


映画版にATGの「修羅」がある。