服部市郎右衛門
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服部市郎右衛門【はっとり いちろうえもん】…大目付。
討ち入りが終わって、メンバーみんな揃って泉岳寺行こうとしたときに両国橋のたもとで通せんぼした人。
「アイヤそのほう異形の姿をなし、いづこへまかり越す。この橋をなんと心得る。ご城内表玄関正面に相当たる両国橋なるぞっ!」
しかし挨拶に出た大石内蔵助から事情を聞いて、義士の働きを「世にたぐいなき忠義。あっぱれ」と労うものの、役目柄、血だらけの武装集団を見逃して奉公をおろそかにできず「深川から永代橋をわたって芝高輪に行くコースをおすすめいたす」と、コース変更を促し、なんなら自分を殺して死骸を踏んでいってくれと言うので、内蔵助たちが折れる。
もともとは、あとから追加された仮名手本の11段目引き上げの場(12段目?とにかく原作にはないキャラなので埒外にすべしという評論家さんもいる。)に出てくる服部逸郎がモデルだとされる架空の人物。
バージョン違いではこの役を桃井若狭助がやることもあったり、古いところでは、足利の昵近・鳥取一郎なる人物が通せんぼをして「足利の旗本譜代の面々、昼暮にこれを通路なす」から、物騒なみんなを通すことができない。「この橋を通らずともほかに…ナ、赴く道もあらん」と、アドバイスと言うより察してもらってコース変更をうながすバージョンもある。
ちなみに「大映版」では大目付の多門伝八郎がこの役をやっている。
史実でも、15日が御礼日とかで、大小名がみんなして両国橋を通って総登城する(登城路)ってんで、もっと南にある永代橋を通ったとか。