忠臣蔵 音無しの剣

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作品概要
制作会社 テレビ朝日
公開年度 2008年
内蔵助役 橋爪功
評価 2ツ星


ん〜、特筆すべきところの無い作品。腹もたたないし喜びもしない。

田村正和演じる架空のキャラクターが四十七士とからむのですがもうひとつ。

絵作りはきれいでした。

なんでしょうね、あとで思い出そうとするとマサカズさんの顔や声ばかりが頭の中で再生されるんですが、なにを言ってたとか、忠臣蔵的な魅力が薄いんでよみがえってこないんですよね。で、サイトで無作為にレビューを読むと、ほめてるものはやはり「マサカズよかった!」ということでして、忠臣蔵はサブなのかと。

内容は、船宿(か回船問屋?)に寄食する?田村正和の浪人が、前カノの今カレが赤穂浪士に支援してるんで、田村正和も吉良邸の外で護衛をする。


忠臣蔵を「もうみんなが知ってること」として、あまり説明せずにサイドストーリーを描く場合でも、忠臣蔵の持つバックグラウンドやテーマやエッセンスが反映されていなければ、看板に忠臣蔵といれるべきではない。こういうテイのはなしなら「腕におぼえあり」とか「編笠十兵衛」みたいなタイトルにすりゃあいい(この2作品は本作品同様、アクセントとして忠臣蔵を扱ってる)。

個人的には「忠臣蔵外伝 逃がし屋御前」(御前=主人公のあだ名)とでもしてくれたら、もうちょっととっつきやすかったかも。


でもね、この番組の公式サイトでは、放送までしばらくタイトルに「仮」とあったから、もしかしたら「忠臣蔵」を入れるか入れないか、現場でもギリギリまでもめてたのかもですな。2008年は忠臣蔵ドラマの無い寂しい年でしたので、きっと入れることに決めたのかもしれません。


忠臣蔵としてみるとお粗末だが、広告には和製カサブランカとあるんですが、「カサブランカ」見てないんですが、知ってると印象は違うのかな?



初見から8年目の加筆

上で「忠臣蔵的な魅力が少ない」と言っているのだが、あらためて作品を見てみると、非常に全体が丁寧な作りでお金もそれなりにかけており、制作側も忠臣蔵キャラやエピソードを使って面白そうに工夫して遊んでおり、主人公もかっこよく、忠臣蔵ファンへの敬意も感じられて非常に悪くない作品。


で、思ったのだが、なんで上の文章を書いたビギナーに刺さらなかったのかと思うと(いまも満足度は変わらないのだが)、忠臣蔵の魅力というのはおなじみのエピソードをただハメるだけでは片落ちなのだと最近、思う。「ハメ方」にはセンスが必要。たとえば本作やテレ東のほうの「編笠十兵衛」も材料を使ってるのに味がしない。それを思い出した。


また、あらためて見ても主役の田村正和の存在感が圧倒的なだけに、元カノに対する未練や自分を育児放棄した父親に対する態度、「逃がし屋」というわけのわからないニート生活にチラッチラッと見受けられる、大人げないキャラの「想定年齢」の若さと、ベテランのマサカズの実年齢やコンディションがかけ離れている(たぶん30歳ほど違う)のがいちいち気になる。田村正和にやらせようとしていることと、やってる本人との乖離がどうしても気になる。

彼を若く見せようとするためか、大石内蔵助を、見た目がなかなかロマンスグレイの橋爪功(67歳)にしたり、恋のライバルを中村雅俊(57歳)にしてるのも、作品全体の平均年齢を上げている。

外堀に若くて陽気なサブキャラをパラパラ出してバランスを保とうとしているが、マサカズの存在感には遠く及ばない。


大人のムードも独特で悪くないし、ひじょうに惜しい作品。