忠臣蔵異聞 生きていた吉良上野介
作品概要 | |
制作会社 | テレビ朝日 |
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公開年度 | 1987年 |
内蔵助役 | 丹波哲郎 |
評価 |
浪士の誰も吉良の顔がわからないから、もしも影武者なんぞをつかまされたその時はたのむぞ、と毛利小平太は直々に内蔵助から密命を受ける。
討ち入りの日、炭小屋からひっぱりだした老人の背中にキズは無かったが、内蔵助は実より名をとり、その首を落とす。
小平太は生き残ったメンバー寺坂吉右衛門から事情を聞き、第二の刺客としてチャンスをうかがう。
密命を受ける毛利小平太に川谷拓三。
小一時間の短編でこざっぱりまとまっている。
どんな作品でもとにかく「短い」というのは作品を良く見せるコツのひとつでもありまして、とにかくケンカになりません。
小平太の孤独な闘いはストーリーや演出よりも、川谷拓三の演技が雄弁で、ほんとは寺坂と二人で米沢に向かう吉良の駕籠を襲うはずが、寺坂が途中で怖じ気づいて逃亡するので、なんとか一人でやりとげようとビクビクしながらチャンスをうかがう「小心」ぶりは絶品で、なかなか死なないチンピラをやらせたら第一人者の彼にはもってこいの役どころとなっている。
後年、テレビや映画の「最後の忠臣蔵」で密命を受けた生き残りの苦悩が上手に描けてるのを見ると、本作品も、いまリメイクしたらもっとリアルで人間くさい作品になるんじゃないだろうか。
<加筆>
初見から7年強経ってあらためて観てみると、大石内蔵助がどうして47名ができなかったことを小平太たったひとりが成し遂げられると見込んだのか、理由やバックグラウンドがなにも説明されてない。
もちろん、死んだはずの人間をあらためて亡き者にするのには「討ち入り」に固執する必要はないんでどんな手を使ってもいいから、ひとりでもなんとかなるっしょ、ということかもしれないが…。おそらく川谷拓三のヒットマンマターな企画だったのだろう。
そもそもこのミッションは、小平太が内蔵助から仲間の目の前で面罵されて「逃げ出した」という小芝居までしてわざわざ設定を作って彼に別行動させてるのだが、仲間にまで内緒にしてたわりには作戦が簡単に盗み聞きしてる居酒屋の同棲相手に漏れるしw。寺坂なんか密命を受けてるのに討ち入りには参加させてもらっている。
脚本や設定にほころびはあるが、やはり俳優たちの存在感やランニングタイムの短さでじゅうぶん補えてはいる。