大序

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村芝居

ある田舎の村の秋の祭りで相撲大会だと怪我人が多く出るし、かけっこだと近道でズルをしようとみんな畑を走って荒らすというので芝居をしようということになる。

噺家の前座を掛け持ちするような下回りの役者、団十郎の弟子で市川団富久呂(だんぶくろ。霧の五郎は中村鴈翫(なかむらがんがん…中村鴈治郎と中村翫雀の名を合体させている)。桂文我は片岡ニタキモン…などいろいろ変わる)が講師を依頼され、出張。出し物は仮名手本忠臣蔵と決まり、みんな張り切って準備をする。

高師直役の座頭は烏帽子も凝って手作り。漆を塗ってにかわで固めて乾かそうと外に干していたが知らぬ間にハチが烏帽子の中に巣を作ってしまう。

初日を迎えて大序「兜改め」が始まると舞台と客席で会話をしてしまったりはなはだ心細いありさまであったが、師直は玄人はだしに好調に飛ばす。ところが屋外の公演であるため陽にあたって内部が高温になった烏帽子の中でハチが暴れだす。

頭のあちこちを刺されて痛みをこらえた師直の演技はへんてこりんになるが(くしゃみ講釈の講談師の感じ)たまらず烏帽子を放り出すと頭は福助のように腫れ上がっていた。

「兜ばっかりあらためんと、烏帽子もあらためたらよかった」


別バージョンのサゲで

ふくれあがった師直の頭を見た客が「これぁうめえぞ。師直と出額助(でこすけ)の早変わりだ」

というのもある。…ギャグが芝居とかかってるのでしょうか…?

落語研究家の吉田章一先生によると「さすが江戸の役者だ。師直が福助に早変わりをした」(江戸の役者が指導に出かけてるバージョン)と、するものがあるとか。