ボス THE CANCOFFEEのCM「忠臣蔵篇」
作品概要 | |
制作会社 | サントリー |
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公開年度 | 2018年 |
内蔵助役 | 野村萬斎 |
評価 |
ハリウッド俳優トミー・リー・ジョーンズ。タレントのタモリ。狂言師の野村萬斎。お笑いコンビのタカアンドトシという各界から人気者を集めた豪華さと、松之廊下から討ち入りを30秒以内にまとめあげ得た功績は絶対に称えるべきであり、また良く出来ているし、なにより周囲の忠臣蔵仲間がこぞって喜んで讃えた。
「できること&やるべきことを成し得てる」点では確実に近年の虚弱な作品と一頭地を抜いている。
そんなわけで、最初は「たかがCM」と思い、この項目を作るつもりが無かったが、作った。
缶コーヒーのCMは各社、労働現場における末端?のカーストにスポットを当てており、頑張るサラリーマンに石田ゆり子がねぎらってくれたり(キリン)、外回りの山田孝之がかっこよくホッとしたり(日本コカコーラ)、たけしや劇団ひとりが面白かったり(アサヒ)している中で、サントリーだけは突拍子もない設定を持ってきているのにユーザーに好評らしい。
本作はトミー・リー・ジョーンズ(以下ジョーンズ)扮する宇宙人ジョーンズ出演のCM「地球調査シリーズ」第67弾として制作され、この作品の前は「関ヶ原の戦い」が素材になった。日本史シリーズとしては第2段。
前回のバージョンでは、関が原の戦いで雑兵だったタカトシとジョーンズは今回忠臣蔵篇で吉良邸の奉公人として登場し、赤穂義士の討ち入りにおののき逃げ惑いながら翌朝、騒ぎの後始末に愚痴を言い、主人を失った雪の吉良邸で缶コーヒーを味わう。
「この惑星では、ほんとに働いている人が割を食う」
これまで身分の低い四十七士メンバーにスポットを当てた映像作品はいくらもあったが、吉良邸の奉公人が主役の作品はおそらく史上初ではないだろうか。
上層部のいざこざにただただ翻弄される最下層のものがたり。
忠臣蔵を知らない人が見たらサングラス姿の吉良という登場人物が徹頭徹尾、誰かに殺されそうになっているのを見てなんだかよくわかんないけど「恨まれてる」人なんだなと思ってもらえることでしょう。
タモリは短い登場シーンの中でその「恨まれるべき人物」をヒトコトも喋らずに態度だけで好演し作品を全うさせている。
理屈抜きで吉良を「殺され役」としてリリースできたのは忠臣蔵の大事なエートスが生きており近年においては快挙と言いたい。
忠臣蔵も缶コーヒーの価値も両方作品の中でクリア出来て、スタッフもさぞ満悦なのではと思う。
ファンとしてじれったいのは、忠臣蔵をファンが納得する形でちゃんと作れるクリエーターがこの世にいることをこうも堂々と証明された上で、長尺の作品に関してはおあずけを食ってるという点である。(2018年11月現在)
忠臣蔵CM(もりいのなじみがあるもの)
1976年 セブンイレブンのCMでバンツマの「高田馬場」の一部と新たに撮ったものをつなぎ合わせて「開いててよかった」
1980年 ドリフターズのハクキンカイロ。吉良邸で「ハクキン!」「カイロ!」の、合言葉。「さすが本物!ハッキンカイロ!」
2006年? ガスパッチョのCMで、妻夫木聡のクローゼットから、タイプスリップしたガリレオや織田信長が出てくるが、最終話は大石内蔵助(野口五郎)率いる赤穂義士。
(まだまだ、いっぱいあるのだろうなあ・・・・)