「蜷川幸雄の仮名手本忠臣蔵」の版間の差分

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あと、儀式化された演出を壊してスピードアップすると、思わぬところで観客から笑いが起こるのもおもしろかった。突如長持ちからバーンと近藤正臣飛び出しちゃったりすると実際こっけいに見えます。
 
あと、儀式化された演出を壊してスピードアップすると、思わぬところで観客から笑いが起こるのもおもしろかった。突如長持ちからバーンと近藤正臣飛び出しちゃったりすると実際こっけいに見えます。
  
浄瑠璃の代わりにオペラみたいな歌が入ります(音楽:宇崎竜童)。
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義太夫の代わりにオペラみたいな歌が入ります(音楽:宇崎竜童)。
  
 
好き嫌いは別れるかもな。
 
好き嫌いは別れるかもな。

2009年8月31日 (月) 14:16時点における版

作品概要
制作会社 舞台
公開年度 1988年
内蔵助役 近藤正臣
評価 3ツ星

全編、ところどころ整理したり膨らましたりしてるけどほぼオリジナル(歌舞伎)をトレースしてて、あんまり上演されない段までとにかく「仮名手本忠臣蔵」を全部(といっても陽気な八段目が無い)を通して演ってるから、これがまずすごい。

だからセリフもほとんどオリジナルと同じ「昔なセリフ」なのだが、ふつうに喋るスピードにアレンジされており(というより、マキの入った感じ)、役者さんはさぞかし大変だったろうなと思うが、きっとエネルギッシュな蜷川演出で引っ張って、みんなすごくがんばったのだなあ。見てて気分いい。女優さんがちょっと急いでるかんじがあるけど。

高師直の成田三樹夫がまずもう、すばらしい。もともとあたしはこの人が好きなんでヒイキ目なんだろうが、なんと素敵な声でしょう。滑舌もいいし。表情もいい。演技もいい。かっこいい!前半はこの人のおかげでグイグイ引き込まれる。この人と近藤正臣で星三つ稼いでるかんじ。

古いのやってるわりにスタイリッシュに感じ、のめり込むと「時代劇」に見えなくなってくる。ビデオのパッケに「ギリシャ悲劇の味わい」って書いてあるけど、ギリシャ悲劇知らないけど、たぶんそんなかんじなんでしょうねえ。ヨーロピアンなニオイがしてまいります。

そもそも悲劇要素ばっかしの仮名手本忠臣蔵から、明るい要素を徹底して排除した構成のせいか、後半になるにしたがって盛り上がるどころかどんどん陰気くさい気分になって「討ち入り」もスカッとしない。ていうのはたぶん、計算かもですが。

あと、儀式化された演出を壊してスピードアップすると、思わぬところで観客から笑いが起こるのもおもしろかった。突如長持ちからバーンと近藤正臣飛び出しちゃったりすると実際こっけいに見えます。

義太夫の代わりにオペラみたいな歌が入ります(音楽:宇崎竜童)。

好き嫌いは別れるかもな。


ちなみに蜷川先生、俳優時代にミフネ版大忠臣蔵間十次郎やってます( ^∇^ )。