「携帯忠臣蔵〜世にも奇妙な物語 映画の特別編〜」の版間の差分

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いくらでも面白くなりそうな「忠臣蔵」「携帯電話」「タイムパラドックス」という三題噺を完全に台無しにしてしまった失敗作。
 
いくらでも面白くなりそうな「忠臣蔵」「携帯電話」「タイムパラドックス」という三題噺を完全に台無しにしてしまった失敗作。
  
チョンマゲと携帯の出会い、という絵柄が思い浮かんだ時点で「なんとなく面白そう〜」と満足して思考停止してしまったのではあるまいか。WEB上のレビューでこの映画を「面白い」と言ってるコメントを見ると、まさにだいたいこの「着想」だけが評価されている。
 
  
そもそもこの「世にも奇妙な」はテレビでは簡単に作った話3本とちゃんと作った1本というオムニバスで構成されており、もともと視聴者の要求レベルはかなり低い。本作は映画版での「捨ての1本」に入ると私は見る。(ちゃんと作った1本、と言えるのはブリッジの三谷幸喜脚本のタモリのシーン)
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ストーリーは未来から[[大石内蔵助]]にたった一台、「ほんとに討ち入りするんですか?」と何度も同じ事を聴くためだけに携帯が送られてくる。というハナシ。どういうワケか当日まで討ち入りをいやがってる内蔵助だが出かける際に、自分たちは歴史に残ってるんだなと未来に確認すると、急に決心して「吉良上野介!出陣!」(<なにコレ?)といってオワリ。
  
  
この作品を助けてるのは中井貴一の孤軍奮闘のみ(&絵作りも悪くない)。設定、ギャグ、ストーリー、演出などにはまったく特筆すべき点がない。
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チョンマゲの世界に携帯電話、という絵柄が思い浮かんだ時点で「なんとなく面白そう〜」と満足して思考停止してしまったのではあるまいか。WEB上のレビューでこの映画を「面白い」と言ってるコメントを見ると、まさにだいたいこの「着想」だけが評価されている。あと、この作品を助けてるのは中井貴一の孤軍奮闘。そして、絵作りもきれいだし、音楽や編集の仕方など、周囲はコレをおもしろくしようと努力されてるし、うまくいってる。しかし肝心のお話のほうが設定、ギャグ、ストーリー、演出などにはまったく特筆すべき点がない。
  
情報戦である討ち入り計画に携帯という必殺道具が浪士側に手に入るのだから、忠臣蔵ファンはタイトルだけ聞いたところでいろいろ想像力をかきたてられワクワクするが、その想像のほうがあまりにも本編より面白いので、実際見るとその「行き届かなさ」にほんとうにガッカリする。たった一台、未来とつながってるツールを内蔵助に持たして一方的に未来人がインタビューするだけなら、多機能*が自慢の「携帯電話」である必要がまったくないのだ。<small>*もっとも、2000年当時では写メやワンセグはまだ普及してない。</small>
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情報戦である討ち入り計画に携帯という必殺道具が浪士側に手に入るのだから、忠臣蔵ファンはタイトルだけ聞いたところでいろいろ想像力をかきたてられワクワクするが、その想像のほうがあまりにも本編より面白いので、実際見るとその「行き届かなさ」にほんとうにもったいなくって、ガッカリするのです。
  
元禄時代の背景も、史実も忠臣蔵も活かされてないので、ぶっちゃけ「忠臣蔵」が題材である必要性は全然なし。
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だって、たった一台だけ未来とつながってるツールを内蔵助に持たして一方的に未来人が電話かけてくるだけなら、多機能*が自慢の「携帯電話」である必要がまったくないのだ。<small>*もっとも、2000年当時では写メやワンセグはまだ普及してない。</small>
  
なにか事情があって忠臣蔵にくわしくないスタッフが仕方なく駆り出されなきゃいけなかった…そんな不幸でもあったのかとおもんぱかって百歩譲ったとしても、果たして肝心な「携帯」のほうもうまく使えてない。機能もさることながら、携帯にまつわるあるあるネタにしても、オイシイ素材をなにからなにまで使わずじまいなのだ。(かろうじておかるが根付けを作ってくれるシーンはある。)
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機能もさることながら、携帯にまつわるあるあるネタにしても、オイシイ素材をなにからなにまで使わずじまいである。(かろうじておかるが根付けを作ってくれるシーンはある。)
  
  
SFにもなってないし、喜劇としても弱い。パロディも不成立。
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'''たぶん脚本家自身が携帯電話で300年前に内蔵助に聞きたいことがまったく無い'''のだろうと思う。コレは図星のはずだ。
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どっかのサイトにこんな記録を見つけた。
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「ナースのお仕事」執筆中の脚本家・君塚氏はこの仕事をいったんは断ったのに、プロデューサー氏が「ジェームス三木さんも、成功してる脚本家はみんな忠臣蔵を一度は書いてるんですよ」と説得したという。そんないきさつで忙しい人気脚本家に無理に押し付けたおかげで、まことにお気の毒にしあがった作品。ぶっちゃけ「忠臣蔵」が題材である必要性は全然なし。
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SFにもなってないし、喜劇としても弱い。
  
忙しい人気脚本家に無理に押し付けたおかげで、まことにお気の毒にしあがった作品。
 
  
 
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[[Category:くすおの忠臣蔵作品評|2000]]
 
[[Category:くすおの忠臣蔵作品評|2000]]

2009年5月6日 (水) 01:34時点における版

作品概要
制作会社 フジテレビ
公開年度 2000年
内蔵助役 中井貴一
評価 1ツ星

いくらでも面白くなりそうな「忠臣蔵」「携帯電話」「タイムパラドックス」という三題噺を完全に台無しにしてしまった失敗作。


ストーリーは未来から大石内蔵助にたった一台、「ほんとに討ち入りするんですか?」と何度も同じ事を聴くためだけに携帯が送られてくる。というハナシ。どういうワケか当日まで討ち入りをいやがってる内蔵助だが出かける際に、自分たちは歴史に残ってるんだなと未来に確認すると、急に決心して「吉良上野介!出陣!」(<なにコレ?)といってオワリ。


チョンマゲの世界に携帯電話、という絵柄が思い浮かんだ時点で「なんとなく面白そう〜」と満足して思考停止してしまったのではあるまいか。WEB上のレビューでこの映画を「面白い」と言ってるコメントを見ると、まさにだいたいこの「着想」だけが評価されている。あと、この作品を助けてるのは中井貴一の孤軍奮闘。そして、絵作りもきれいだし、音楽や編集の仕方など、周囲はコレをおもしろくしようと努力されてるし、うまくいってる。しかし肝心のお話のほうが設定、ギャグ、ストーリー、演出などにはまったく特筆すべき点がない。

情報戦である討ち入り計画に携帯という必殺道具が浪士側に手に入るのだから、忠臣蔵ファンはタイトルだけ聞いたところでいろいろ想像力をかきたてられワクワクするが、その想像のほうがあまりにも本編より面白いので、実際見るとその「行き届かなさ」にほんとうにもったいなくって、ガッカリするのです。

だって、たった一台だけ未来とつながってるツールを内蔵助に持たして一方的に未来人が電話かけてくるだけなら、多機能*が自慢の「携帯電話」である必要がまったくないのだ。*もっとも、2000年当時では写メやワンセグはまだ普及してない。

機能もさることながら、携帯にまつわるあるあるネタにしても、オイシイ素材をなにからなにまで使わずじまいである。(かろうじておかるが根付けを作ってくれるシーンはある。)


たぶん脚本家自身が携帯電話で300年前に内蔵助に聞きたいことがまったく無いのだろうと思う。コレは図星のはずだ。


どっかのサイトにこんな記録を見つけた。

「ナースのお仕事」執筆中の脚本家・君塚氏はこの仕事をいったんは断ったのに、プロデューサー氏が「ジェームス三木さんも、成功してる脚本家はみんな忠臣蔵を一度は書いてるんですよ」と説得したという。そんないきさつで忙しい人気脚本家に無理に押し付けたおかげで、まことにお気の毒にしあがった作品。ぶっちゃけ「忠臣蔵」が題材である必要性は全然なし。


SFにもなってないし、喜劇としても弱い。