忠臣蔵 暁の陣大鼓

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2010年3月6日 (土) 13:18時点におけるKusuo (トーク | 投稿記録)による版

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作品概要
制作会社 松竹
公開年度 1958年
内蔵助役 (市川寿海)
評価 2ツ星


ガチッとした作りの安兵衛ものがたり。

主役を演じるのは当時のホープ俳優、森美樹。彼は若くしてガス中毒で亡くなったそうだが、この作品の公開年周辺はコンスタントに年に5〜6本映画に出ており、松竹のチカラの入れようがわかる。


新発田藩時代〜討ち入りまでを見つめ続ける、意外に珍しいロングスパンのストーリー。たいがい安兵衛を主役に立てる場合は、高田馬場を含めたケンカ安のハナシが映像化される。そして堀部家に婿入りするところで終わる。

これは浪人時代と仕官時代では周辺の事情やキャラクターがまるっきり変わってしまうから作品として一貫性がなくなるのでそうするわけだが、本作品は浅野家時代のエピソードはすっぽり抜いて、安兵衛をまた古住まいの長屋に帰すことで討ち入りまでを持たそうと挑戦している。それも道場経営者ではなく「町人」として。

それだと弥兵衛お幸との新生活はどうしてくれるの?てことになるのだが、本作品の安さんは堀部と「離縁状態」。

オイオイと思うところだが、そもそもこの作品はあくまで、忠臣蔵だの堀部安兵衛をどうこうしようと言うより、森美樹をどう見せようかに心血を注いでいる作品で、りっぱなお侍の森美樹、不真面目なのんべえ浪人・森美樹、町人の森美樹。というバリエーション・ショーが主眼になってるのでストーリーにはいささか無理があってもしょうがないのかも。


とはいえ、安兵衛の人生は前半と後半、やっぱり一緒にはならないわけで、この映画も前半のケンカ安時代は軽妙で超おもしろく呑気に見ていられるのだが、町人に身をやつして過去に住んでいた長屋で旧友の女社長(髪結いやのおかつ=嵯峨三智子)と半同棲みたいになってくると、ちょっとトーンダウン。

キャラクターにいろいろコスプレさせるならそれぞれの魅力が必要なのだが、内蔵助をせっつく急進派の浪人ならまだしも、周囲から「仇討ちをやらないのかい、ケッ」とさげすまれる「町人」の安さんには魅力が欠ける。

そうは言っても映画全体は面白くまとまっており、気楽な一本。


あと、あんまり森さん、殺陣(たて)がうまくない?監督はそれをごまかそうと細かいカット割りでがんばっている。