忠臣蔵 地の巻/天の巻

提供: Kusupedia
2020年6月26日 (金) 17:29時点におけるKusuo (トーク | 投稿記録)による版

移動先: 案内検索
作品概要
制作会社 日活
公開年度 1938年
内蔵助役 阪東妻三郎
評価 3ツ星
役者絵:片岡千恵蔵
役者絵:志村 喬

30歳代の知恵蔵は台詞が明瞭(早口だけど)。

かなりスタンダード。


衣装のデザイン(柄など)が知る中では最もPOP。

(古いスチルとか見ると、昔の作品になるに従って衣装のデザインが凝ってる。「実録忠臣蔵」もそうとうPOP。)


エピソードtoエピソードというテンポで、サクサク話が進む。あんまりサクサクしてるので吉良が浅野をいじめようと思うきっかけが浅薄で、進物が気に入らなかったわりにはイジメの度合いが徹底的で、そこまでするか?これじゃあ吉良さん少し頭がおかしいだろ!?というぐらい悪人になってる。また、吉良をやってる役者の山本嘉一(セリフに句読点が多い)という人が知る限りでもっとも憎々しげなお顔立ちなのでステロタイプここに極まれり。


古い作品なので音声の悪さと侍言葉が相まって、初めてみた時はなにをしゃべってるのかよくわかんなかった。何十本も忠臣蔵見て各エピソードが頭に入ってから見直したら、この作品が実はひじょうに丁寧でよくできていて、バンツマのキャスティングに象徴されるように全体がスマートでコンパクトだということがわかったが、ビギナーには難儀かもしれません。

大評定のシーンで、すげえ悪役な声が会場に響いてるんで大野九郎兵衛が進行役やってるのかと思ったらバンツマ演じる内蔵助のダミ声だった(笑)。


全体の尺に比べて「大石東下り」がたっぷりしている。内匠頭と二役の知恵蔵演じる立花左近と内蔵助との面会を目玉にしているのもあるが、BGMの長唄「勧進帳」の歌詞をすっかり聴かせるためにわざわざタメてるのが印象的。


<附言>

 戦争をまたいで、20年後くらいに映画の全盛期になり、日活も石原裕次郎や赤木圭一郎など、大スターを抱えて東映と人気争いでしのぎを削るが、各社が作った「オールスター出演映画」は日活は制作しておらず、ましてや現代劇専門?だったのもあって、忠臣蔵もその頃に作られていない。

 合併前から数えれば、長い歴史を持つ日活が、&戦前まではたくさん忠臣蔵をリリースしてきた日活が、敢えて新時代の発展を意識するように、忠臣蔵を撮らないことで過去との決別を計ったのかもしれない。(という、勝手な深読み)

 忠臣蔵映画製作は、その制作会社の力の有り様を鼓舞する目的もあったとする、春日太一先生の言葉を借りると、日活は「そういう元気」がなかったとも受け取れなくもないが、70年代という微妙なときに「戦争と人間」三部作とか作ってるから、やはり敢えて忠臣蔵に手を出さなかったのかなと。(という、勝手な深読み)