忠臣蔵1/47

提供: Kusupedia
2009年9月6日 (日) 15:12時点におけるKusuo (トーク | 投稿記録)による版

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作品概要
制作会社 フジテレビ
公開年度 2001年
内蔵助役 佐藤浩市
評価 2ツ星
役者絵:木村拓哉

主役は木村拓哉の堀部安兵衛

悪い意味で優等生的な作品。

「これまでにない忠臣蔵」を目指すのも結構だし、おはなしはこざっぱりまとめてあるし、ところどころ斬新だし、スタッフやキャストは無難に仕事をこなして入るんだけど、トータルでは「忠臣蔵に対するこだわり」の無さだけを感じてしまう。独特の気合いは伝わってくるのだが、全編が「のっぺり」している。

「昔はそれで良かったかもしれないけど、現代ではこう演出しないと視聴者に主旨が通じない」的なアレンジが余計で、それが普遍的な忠臣蔵世界に逆に「安さ」を与えてしまった。手をつないでゴールする運動会や、怪獣を殺さないウルトラマンに通じるものがある。


「あ、どうぞどうぞ」と、行儀のいいスタッフがお互いを譲り合って大胆な仕事を避けて、無事故(無難)に終わったってかんじもする。


四十七士ってユニットは、かっこいいのもいれば無骨もいればバカもお笑いもいろいろいるのだが、本作品にはそういう強弱がぜんぜん無い。全体のムードが「まったいら」。アソビが徹底的に無い。言わば「熱いだけの童貞の学校の先生」ってかんじ。

役者をそろえておきながらよくあれだけ極彩色豊かな「忠臣蔵」をこんだけ油を抜いて仕上げられたなと思う。


そもそも「安兵衛」の物語と言えばもう底抜けに明るく、この江戸っ子の人気者は破天荒でユニークなはずなのに、本編ではまるっきりオスマシ&ツツマシヤカ。

キムタクって人は、ある意味安兵衛像に近いと思う。やるときはやるけど愛嬌たっぷりの人気者だ。たとえば糊屋のばあさんに研ナオコかなんかを当てて「おぃばばぁ!ちょ待ぁてよ!」ってやったらもう、安兵衛のイメージぴったりなのに、そうした持ち前の個性を殺してまで作り上げようとした人物像とはなんなのか、キャラが伝わってこない。

忠臣蔵エピソードのおいしいところを全部安兵衛にやらせる「ありえねー構成」は、やり方によってはすごくバカバカしくなっておもしろくもなるだろうに、キムタクに見せ場を与える以上のこだわりが無いから、単に各所をローテンションの若い侍がホワ〜ンとお使いをするだけになってしまってこれももったいない。


もしかしたら、時代劇を平成風なゆるいテンションの若者達でアプローチしようと試みてるようにも見受けられなくもない。「吉良に謝りに行こう」とか「今風」だったし…。

最後の最後にも魅力的なカットもあるにはあった。そういえばあたしが泉岳寺の土産物屋の若女将さんとこの作品を話題にしたとき彼女は「キムタクがタクアン食べてましたネ」とだけ感想を言ってたし、なんかしらは残る

やぁでも、でもせっかく元禄のスターを平成のスターがやるんだから、そんなチョボチョボした名場面(?)じゃあ、いかにせん、もったいない。


コレうまくいってれば、三国志や新撰組にくらべて「萌えキャラ」不在といわれている「忠臣蔵」の面目躍如になり得たと思います。


最初、星一個だったんだけど、何度か見てると、すごくマジメにやろうという姿勢が見え隠れいたしまして、どっか憎めないので星二つ。

忠臣蔵1/47 完全版 [DVD]

木村拓哉 出演, 佐藤浩市 出演