復讐浄瑠璃坂 第一部鬼伏峠の襲撃 第二部暁の血戦

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2019年6月17日 (月) 11:35時点におけるKusuo (トーク | 投稿記録)による版

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 赤穂浪士の吉良邸討ち入りよりも三十余年前に、実際にあったお家騒動事件で、のちに赤穂浪士が討ち入りのやり方などを参考にしたのでは?と言われている「浄瑠璃坂の仇討」の映画化作品。

 オープニングに「赤穂浪士の吉良邸襲撃より三十余年前のことだ」というような字幕から始まって、タイトルとなる。

 この事件、「赤穂浪士の吉良邸襲撃」「荒木又右衛門 鍵屋の辻の決闘」と共に、かつては江戸三大仇討ちと並び称されていたそうだが、ウィキペディアによれば「近年では、仇討ちの原因の分かりにくさや当事者の関係の煩雑さもあって」取り上げられることが少なくなってる、とある。

 たしかに、赤穂事件が、発端〜作戦〜討ち入り、というシンプルな構造であったり、江戸城〜色里〜雪の松坂町など、場面転換に彩りがあるのに比べて、本作品を観ると、ずうっと「奥平さんち」の話な上に、奥平さんちAが奥平さんちBを襲撃したんで奥平さんちCが隠れ家を変えて(BCはAの仇)、でも奥平さんちAが見つけて夜討して…と、いきさつも少々込み入っている。

 誰が誰の息子で兄弟で恋人で、という図式も最初わかりにくいのだが、制作側もなんとかしようと思ったのだろう。オープニングから十分近く、20人近い人物の紹介(音楽と字幕のみ)についやす。

 その努力もむなしく、ひとりずつ「内蔵丞一門の源蔵の妹で主馬の妻となった悲劇の女 千万路」とか急に出されても、なかなかこっちの頭に入るものではない。誰が誰だかさっぱりわからない。

 人物紹介だけでなく、奥平家のギスギスした関係を、スター・ウォーズのオープニングを短くしたようなロールの字幕で説明する。

 ぼうっと見ているとなにひとつ頭に入ってこないが、メモなどしながら見ていれば、なんとか必要なことが把握でき、作品をなかなか面白いケイパーモノとして楽しむことが出来る。

 ちゃんと面白い映画に仕上がってるのだから、そこまで懇切丁寧な登場人物紹介、必要だったのかは疑問の残るところ。ファーストインプレッションにすごくマイナスかと。


 ケンカ別れしたお家のそれぞれに付く参謀に、大河内伝次郎と嵐寛寿郎というスターが入っており、このふたりの丁々発止がそうとうカッコよくて見応えがある。

 いっぽうロミオとジュリエットもぶち込んでくる(親の敵を打ちとった奥平源八郎に坂田藤十郎。彼のいいなづけでありながら源八郎の敵の妹・菊乃に扇千景コンビ)が、こっちは見事に尻切れトンボ。笑

 前後編の大作で、飽きずに見て入られるが、武門の意地にかけて、親戚同士殺しあうというのはなかなか悲惨。  


 あ、討ち入りが火事装束じゃなかった。(のちの赤穂浪士は、浄瑠璃坂事件から火消しのふりをするのを参考にしたと言われている。)