「喜劇 縁結び旅行」の版間の差分

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鉄道員の日常と、播州赤穂、旅先の倉敷や出雲大社、のさまざまな風景で旅情をかき立てる、というこの「なんでもない」構成は、昭和45年正月の大衆にはピッタンコのパッケージだったんだろうなあと、当時をすごくあれこれとイメージした。
 
鉄道員の日常と、播州赤穂、旅先の倉敷や出雲大社、のさまざまな風景で旅情をかき立てる、というこの「なんでもない」構成は、昭和45年正月の大衆にはピッタンコのパッケージだったんだろうなあと、当時をすごくあれこれとイメージした。
  
「映画でも行くか」と家族を誘っておとそ気分で近所の活動屋にふらりと出掛け、受付のおばちゃんをからかい、おせんべいを買って、映画の音が思いっきり漏れてくるロビーの、破れたソファでイビキをかいてるおじさんを横目に、フランキーと牧紳二がやりとりをしてる、まったく映画の途中から入って、事情はわからないが、席に着きながらもうそこから笑うという、そういう3丁目な想像が容易に出来る「気のおけない」作品なのである。
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「映画でも行くか」と家族を誘っておとそ気分で近所の活動屋にふらりと出掛け、受付のおばちゃんをからかい、おせんべいを買って、映画の音が思いっきり漏れてくるロビーの、破れたソファでイビキをかいてるおじさんを横目に、フランキーと牧 伸二がやりとりをしてる、まったくの映画の途中から入って、脈絡はわからないが、そのくせ席に着きながら、もう笑っているという、そういう3丁目な想像が容易に出来る「気のおけない」作品なのである。
  
  

2012年1月2日 (月) 20:14時点における版

播州赤穂を舞台にした現代劇。

鉄道員のフランキー堺を主人公にした「旅行シリーズ」第5弾の舞台が赤穂(第1弾は大阪、第4弾は高知とか毎回設定が変わる)で、登場人物はいずれも義士関係の子孫というかんじ。

兵庫県、播州赤穂駅の旅客係の赤垣源太(土佐が舞台だと、坂本竜太という風に主人公の名前が変わる)は、加里屋郵便局で働くみち代(金井克子)にプロポーズするが、コメディの因果で、日ごろから源太にモーションをかけてる「義士そば」の店員・おかるちゃん(野添ひとみ)と結婚するハメになる。


たったこれだけのストーリーに、伴淳、ミヤコ蝶々、大村崑、悠木千帆(現・樹木希林)など、「見てるだけでおもしろい」そうそうたるメンツで構成し、約80分を持たせている。


鉄道員の日常と、播州赤穂、旅先の倉敷や出雲大社、のさまざまな風景で旅情をかき立てる、というこの「なんでもない」構成は、昭和45年正月の大衆にはピッタンコのパッケージだったんだろうなあと、当時をすごくあれこれとイメージした。

「映画でも行くか」と家族を誘っておとそ気分で近所の活動屋にふらりと出掛け、受付のおばちゃんをからかい、おせんべいを買って、映画の音が思いっきり漏れてくるロビーの、破れたソファでイビキをかいてるおじさんを横目に、フランキーと牧 伸二がやりとりをしてる、まったくの映画の途中から入って、脈絡はわからないが、そのくせ席に着きながら、もう笑っているという、そういう3丁目な想像が容易に出来る「気のおけない」作品なのである。


さて


まったく個人的な事だが、本作はわたしが「おかる」という名前を忠臣蔵の登場人物として覚えた最初の作品である。

数十年前に深夜テレビかなにかでこの作品を観て強烈に記憶に残っているワン・カットがあるのだ。

今回、そのカットだけをたよりにネット上であら探しし、「喜劇 縁結び旅行」というタイトルにやっとたどりついたのだった。


野添ひとみ演じるおかるはそば屋の店員で、ことあるごとに意中の鉄道員・フランキー堺に猛烈アプローチをする件は、さっきオハナシいたしました。

脇役の、彼女のインパクトがわたしにとってはただごとじゃなかった。

おかるは長い髪を弁髪のように編んだヘアスタイルに、ミニスカート、主にタートルネック姿で、その上から雁木模様の真っ赤なはっぴをいつもまとっている。

ここまでなら、まあチャーミング?なのだが、メガネが無いと目の前の人物の判別すら出来ないド近眼の設定でいつも黒縁のでかいメガネをかけており、性格もおきゃんぴー。このかたちで、おかもちを持ってるアンバランスなビジュアルが印象的で、きわめつけはこの彼女が本作の「お色気担当」であることで、ある日赤い下着がすけすけのシースルーのワンピースで播州赤穂駅に出前に行き、とぼけた顔をしてお目当てのフランキーに胸をすりつけるようなしぐさでそばを配るシーンがあって、ソコだけが強烈に脳裏に焼き付いていた

で、ブサイクなモテない役柄なのに、野添さんはじゃっかん哀愁のあるエキゾチックな美人なのである。

「気のおけない」松竹映画の喜劇にとてつもない「ギャップ萌え」のスパイスが入っている。

で、彼女のあだ名が「おかる」てんでしょ。なにもかもがミスマッチ。

十代のわたしにはショッキングで、いまにして思えばちょっとした原体験であった。


案外、無意識に忠臣蔵狂いを加速させる触媒になっていたかもしれない??