元禄忠臣蔵

提供: Kusupedia
2008年9月8日 (月) 13:44時点におけるKusuo (トーク | 投稿記録)による版

移動先: 案内検索
作品概要
制作会社 松竹
公開年度 2006年
内蔵助役 松本幸四郎ほか
評価 ★★

昭和初期に作られたものですが、あたしが見たのは国立劇場は開場40周年の公演のBS放送。

内蔵助役には松本幸四郎、坂田藤十郎、中村吉右衛門のトリプルキャスト。

歌舞伎で忠臣蔵と言えば「仮名手本忠臣蔵」だが、こっちは史実を元にした新歌舞伎で、歌(BGM)がありません。

イベント中の刃傷事件に右往左往する江戸城から始まる。

それから田村邸>赤穂城に使者>大石内蔵助邸>最後の評定>内蔵助の決心>(第2部)撞木町>仇討ちを後押ししたい徳川綱豊卿(ポスト綱吉)>南部坂の別れ>(第3部)吉良邸裏門(もう討ち入りはすんでる)>泉岳寺>自首>大石最後の一日

おなじみなシーンのようでじつは見たことの無いシーン、みたいな独特の味わいがあります。

さて、はじめて見た時、最後の「最後の一日(討ち入り後、四家お預けになったあとの内蔵助の最後の日を描いている。)」が全体を通してみるとエピローグにしてはいやにたっぷりしてバランス的に「間延びしてるなあ」と思ったし、はじめの内蔵助の登場シーンがいやにもったいぶられてると思ったが、実はこの「元禄忠臣蔵」というのはこの「大石最後の一日」が一番はじめに書かれたそうなんですね。で7年がかりでほかのを書き上げたと言う。

これがシリーズの最初なんだと思ってあらためて「最後の一日」を「単品」として見ると、やっぱチカラ入ってますし、今まで芝居で仮名手本が主流だった時代に、新歌舞伎なんつってこの「最後の一日」が上演された昭和初期の観客の気持ちを探るとおもしろく、当時やっぱ斬新なアプローチだったろうなと思った。どのセリフも興味深く聞けるし。

そもそも壮絶な「全員切腹」という壮絶な末路の前に、繊細なラブストーリーを持ってくるセンスが素晴らしい。ここは泣きます。

きっと、「最後の一日」があんまり良かったんでプロデューサーからほかも全部書いてって真山青果は言われたんでしょうなあ。通してやるなら、時系列じゃなくて、書かれた順っていうのもいいかもですな。


全体的にエピソードより人物が丁寧に描かれてて、現在ではおなじみのキャラクターの感情の脚色などは、この作品がお手本になってたりすんのかな、と思うような基本形。

派手さが無いので、芝居としてのエンタ度に欠けるが、こりゃそうやってみる芝居じゃないから、んま〜好き嫌いあるかな。