「お軽」の版間の差分

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[[画像:okaru.jpg|thumb|役者絵:安達祐実]]
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[[画像:Yujyo_okaru.jpg|thumb|役者絵:坂東玉三郎]]
  
お軽【おかる】…仮名手本キャラ。勘平のガールフレンド。浅野家腰元。寺坂吉右衛門の妹。
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お軽【おかる】…[[通し狂言 仮名手本忠臣蔵|仮名手本]]キャラ 遊女おかる。もともとは顔世御前([[瑤泉院]])の腰元。
  
夫の勘平のために遊郭一文字屋に売られちゃう(百両)。そこで討ち入りの密書を読んでしまって兄に殺されそうになる。
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[[早野勘平|勘平]]のガールフレンド。寺岡平右衛門([[寺坂吉右衛門]])の妹。
  
最初は当然抵抗するが、父親も恋人も死んでいることを告げられるとガッカリして死を覚悟するが大石が助ける。全然ついてないかわいそうなキャラ。
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師直([[吉良上野介|吉良]])からラブレターをもらってた顔世御前が「NG」の返事をお軽に託し、足利家の御殿に行かせる。恋人の勘平が手紙を受け取り、渡しに行ってる間、お軽は師直の側近[[鷺坂伴内]]からセクハラを受ける。
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この手紙で師直がキレて顔世御前の夫、塩冶判官([[浅野内匠頭|内匠頭]])へのイジメが始まり、刃傷沙汰に発展する。
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手紙の用事が済んだあと、勤務中にお軽とデートに行っちゃった勘平は事件に居合わすことができず、メチャクチャ落ち込み、お軽は自分の田舎の山崎村の実家に勘平をさそって百姓暮らしを始める。
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殿様への仇討ち計画のニュースがあると、お軽の父親・[[与市兵衛]]は、婿殿の復帰のための軍資金作りにと、お軽を遊郭・一文字屋に売っちゃう(百両)。この行為があらゆる悲劇を生む。
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ややこしい悲劇のことを何も知らないままお軽は「一力」で勤務を続け、季節が変わったある日、放蕩三昧を続ける由良之助([[大石内蔵助|内蔵助]])の読んでる手紙をラブレターと思い、うらやましさからのぞき見る<small>*01</small>。これが討ち入りの密書だったもんだから、口封じに兄・[[寺坂吉右衛門|平右衛門]]に殺されそうになる。
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最初は当然抵抗するが、父親も恋人も死んでいることを告げられるとガッカリして死を覚悟するが大石が助ける。
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このお軽というキャラは、塩冶判官の刃傷がキッカケで職場、恋人、父親、兄のすべてを失い、まったくいいところのない運命の、受け身ばかりの悲劇のキャラクターのようにも見えるが、人形浄瑠璃のほうの「仮名手本」(三段目「腰元おかる文使いの段」)を見ると、彼女は勘平の袴の中に手を突っ込むなど、積極的かつ大胆に彼を欲しており、明らかにおかるは勘平のアッチのほうもベタ惚れであり([[大石主税|大星力弥]]と[[小浪]]のプラトニックと対照的)、各キャラクターがそれぞれつむいでいった悲劇とも見えます。
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北原白秋がまとめ上げた「おかる勘平」という詩は、お上から「エロい」と判断され載せた詩誌は発禁。やがて廃刊になったそうだが、白秋のアプローチは正しかったと思います。
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最近では仮名手本の現代語訳的な「[[新春ワイド時代劇 忠臣蔵−決断の時|決断の時]]」で純名りさがお軽を演じ「それじゃあたしはいったいなんのために、遊里に売られたのよー!」みたいな事を泣き叫んでいたのがお茶の間的にはわかりやすいっちゃあ、わかりやすかったがそれでは色気が無い。もしも阿部定のようにエロにまっすぐな恋愛体質キャラとして描かれたらリアクションはもう少し変わってるかも、と思いました。
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ちなみにりささんは同番組において、切腹しようとする勘平を制止するシーンで抜き身(白刃)を思わず鷲掴みにしちゃう珍シーンがあり、DVDでも見られます。
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*01・・・お軽は由良之助の手紙を二階の窓から鏡越しに読むのだが、おそろしく遠目の利く女があるものでございます。立川志の輔師匠はお軽を「アフリカ生まれ」としているw。
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== 関連項目 ==
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* [[寺坂吉右衛門]](寺岡平右衛門)(兄)
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* [[早野勘平]](恋人)
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* [[与市兵衛]](父親)
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* [[阿久里/瑤泉院]](上司)
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* [[鷺坂伴内]](セクハラおやじ)
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* [[可留]](ヒントになった実在の人物)
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== 関連作品 ==
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* [[悲恋おかる勘平]](東映)1956

2017年5月21日 (日) 16:19時点における版

役者絵:坂東玉三郎

お軽【おかる】…仮名手本キャラ 遊女おかる。もともとは顔世御前(瑤泉院)の腰元。

勘平のガールフレンド。寺岡平右衛門(寺坂吉右衛門)の妹。


師直(吉良)からラブレターをもらってた顔世御前が「NG」の返事をお軽に託し、足利家の御殿に行かせる。恋人の勘平が手紙を受け取り、渡しに行ってる間、お軽は師直の側近鷺坂伴内からセクハラを受ける。

この手紙で師直がキレて顔世御前の夫、塩冶判官(内匠頭)へのイジメが始まり、刃傷沙汰に発展する。

手紙の用事が済んだあと、勤務中にお軽とデートに行っちゃった勘平は事件に居合わすことができず、メチャクチャ落ち込み、お軽は自分の田舎の山崎村の実家に勘平をさそって百姓暮らしを始める。

殿様への仇討ち計画のニュースがあると、お軽の父親・与市兵衛は、婿殿の復帰のための軍資金作りにと、お軽を遊郭・一文字屋に売っちゃう(百両)。この行為があらゆる悲劇を生む。

ややこしい悲劇のことを何も知らないままお軽は「一力」で勤務を続け、季節が変わったある日、放蕩三昧を続ける由良之助(内蔵助)の読んでる手紙をラブレターと思い、うらやましさからのぞき見る*01。これが討ち入りの密書だったもんだから、口封じに兄・平右衛門に殺されそうになる。

最初は当然抵抗するが、父親も恋人も死んでいることを告げられるとガッカリして死を覚悟するが大石が助ける。


このお軽というキャラは、塩冶判官の刃傷がキッカケで職場、恋人、父親、兄のすべてを失い、まったくいいところのない運命の、受け身ばかりの悲劇のキャラクターのようにも見えるが、人形浄瑠璃のほうの「仮名手本」(三段目「腰元おかる文使いの段」)を見ると、彼女は勘平の袴の中に手を突っ込むなど、積極的かつ大胆に彼を欲しており、明らかにおかるは勘平のアッチのほうもベタ惚れであり(大星力弥小浪のプラトニックと対照的)、各キャラクターがそれぞれつむいでいった悲劇とも見えます。

北原白秋がまとめ上げた「おかる勘平」という詩は、お上から「エロい」と判断され載せた詩誌は発禁。やがて廃刊になったそうだが、白秋のアプローチは正しかったと思います。


最近では仮名手本の現代語訳的な「決断の時」で純名りさがお軽を演じ「それじゃあたしはいったいなんのために、遊里に売られたのよー!」みたいな事を泣き叫んでいたのがお茶の間的にはわかりやすいっちゃあ、わかりやすかったがそれでは色気が無い。もしも阿部定のようにエロにまっすぐな恋愛体質キャラとして描かれたらリアクションはもう少し変わってるかも、と思いました。

ちなみにりささんは同番組において、切腹しようとする勘平を制止するシーンで抜き身(白刃)を思わず鷲掴みにしちゃう珍シーンがあり、DVDでも見られます。


  • 01・・・お軽は由良之助の手紙を二階の窓から鏡越しに読むのだが、おそろしく遠目の利く女があるものでございます。立川志の輔師匠はお軽を「アフリカ生まれ」としているw。

関連項目

  • 可留(ヒントになった実在の人物)


関連作品